猫のお戯れ

オタクのほんわか感想ブログ

ルリのかさね感想

おすすめ度★★★★★

シナリオ 50/50
システム  4/10(古すぎ。テキストミス多い)
キャラ     9/10
音楽        10/10
声優        10/10
絵            9/10

点数92

ささやかな日常とそのささやかな日常すら送れなかった悲恋の二つの物語を混ぜ合わせた作品。悲劇があるからこそ日常の有難味が増すし、日常があるからこそより悲恋が映える。ベテランメーカーの力を見せつけた名作。

先に推奨攻略順から
佑咲→依知子→ルリ2→ルリ3→ルリ1
この順番がルリのかさねを一番楽しめると思う。


各ルート感想
佑咲
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変わる心、変わらない想い。このルートは変化について書いていたように思う。
高校卒業を境に社会人デビューと称して以前の気弱な性格から下ネタも言えるおちゃらけた性格になった佑咲だけどその実、まともに友達もおらず毎日神社へと向かい主人公と話すだけの日々を十年間続けていた。
変わることを望んでいた佑咲だけど本当に望んでいたものは高校時代から一緒にいた主人公とずっと変わらず歩んでいくことだと気づいて終わり。

こーやって書くと短くて内容がないストーリーに思えるけど丁寧な日常描写を習ねることで十分な読み応えがあった。日常描写をしっかりとしていたからこそ、佑咲が求めていたのが変わらない日常だという想いに説得感が出ていた。
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依知子
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バイト戦士。この娘いつ大学行ってるだろか。依知子ルートは未来への展望を描いていた。
バイトしてバイトして通帳を最後まで記帳して貯めたお金で成りたいものに成ろうとしたけど、特に成りたいものがなかったというオチ。
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最後は今まで溜めたお金をすべて賽銭箱に入れて終了。
この行為には三つ意味があると思う。一つは神様へのお願い、もう一つは夢を探すためにお金を貯める事への決別。最後は穿った見方だけど、神社の神主である主人公にプレゼントしたのではないかと思う。特別な夢を見つけることを諦めて主人公とともに歩いていくことにした依知子なりの花嫁道具なんじゃないでしょうか。
ヒロインの心理描写がイマイチ分からなかった。まあ最初は警戒心丸出しだったけどだんだんと主人公に懐いていく依知子は見ていて可愛かったので◎。

ルリ

ルリはエンディングが3つあるので最初に2と3。
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2は兄妹となった主人公とルリの日常の話。神社という狭い世界から外に目を向けてほしいと思う兄と、兄だけを見ている妹のすれ違いと和解の話。主人公もルリもお互いのことを思いやっていて、プレイしていてとても癒される。


ルリルート3はエロシーン満載の番外編みたいなとこあるので割愛。

このルリ2と佑咲、依知子ルートは共通して日常と関係性の変化をとても丁寧に描写していた。
正直ここまでだと良作雰囲気ゲーという枠組みに収まるけど、最後のルリ1で化ける。

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ルリルート2でのエピソードで、微妙に体調が悪いルリが主人公に相談して病院に行き、難病に初期症状で気づくというシーンがある。ルリルート2を先にやると正直挟む必要性のないエピソードのように思えたけど、ルリルート1ではルリが忙しい主人公に遠慮して病気の発覚が遅れてしまう。
その結果ルリは不治の病となり、隠し事をしないという約束を破り病を隠していたことから主人公とルリの間に不和が出来る。

結局この悲劇はルリが隠し事をしたというだけでなくて、主人公がルリのことだけしか見ていなかったことから起こったように思う。他ルートではバイト適性がないにも関わらず、佑咲のことを思って巫女のバイトに採用していた。その結果ルリは佑咲と仲良くなり、甘えることを覚えるし、主人公の仕事の負担も減っていた。ルリルート1では佑咲のバイトを断ったことによりより忙しさが増したし、ルリの成長も遅くなってしまった。

その他のルートでは日常と変化を丁寧に描写していたからこそ、そのささいな日常すら遅れず、変化も出来ないこの展開が強烈に胸に突き刺さった。RURIルート以外のルートはすべてRURIルートを映えさせるためにあったと言っても良いと思う。

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他のルートが未来への展望溢れる爽やかな終わり方をしているのに対して、このルートはルリの死という形で終わる。他のルートが幸せな終わりをしていればしているほど、やるせなさが襲ってくる。

特にルリルート2と比較すると顕著で
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ルリルート2は神社の屋根の上、ルリが自身が幸せであると星明りに照らされながら満面の笑みで主人公に語るが、ルリルート1では
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薄暗い部屋で余命いくばくもない状況での幸せ宣言になる。それぞれ単体のゲームでもそれはそれで感じ入るものもあっただろうけど、二つの展開を同じヒロイン同じゲームでわずかな選択肢の違いでやられると胸に突き刺さる痛みが倍になる。

その上で悲しいだけの話ではなくて、不和になってしまった主人公とルリが少しずつ、昔の関係性を取り戻していくシーンはやってて胸にくるものがある。ただまあもう一度仲良くなった時にルリの余命宣告が入るので悲しみの海に引き戻されるのだけど。

残りわずかな時間を二人だけで過ごす最後のシーンは涙なしでは読み進めれないし、病気になる前の幸せだった日常を噛みしめるように、繰り返す展開は本当にすごかった。昔褒められたルリのオリジナルおみくじを最後に引く展開とかイメージ4323
このCGからルリの幼さや魅力が溢れてくるし、その上でこんないい子がもうすぐ死んでしまうという事実で余計泣ける。そこからの告白とかもう王道すぎて強すぎる。イメージ4341

ルリが死んだ後の主人公の独白もタイトルのルリのかさねに掛けてきてて、
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2人で重ねて食べたサンドイッチや一つの傘の下で2人身体を重ねて歩いたことなど、今までの些細な日常描写が気付けば二人の習ねとしての意味を持ちだすようになっていた。2人の日常の一つ一つがフラッシュバックしてくる。ルリのかさねというゲームはささやかな日常描写が非常に多くともすれば退屈と取られてもおかしくないレベルだったけどすべてはこのラストの展開のためだったんじゃないかな。


日常と非日常を絶妙に組み合わせた名作雰囲気ゲーでした。



最後に、

推奨攻略順を

佑咲→依知子→ルリ2→ルリ3→ルリ1

としたけれどやはり最後のもう一度ルリ2をやって

佑咲→依知子→ルリ2→ルリ3→ルリ1→ルリ2

としたい。1で味わった寂寥感が2の終わりで癒されるしやっぱりルリちゃんには幸せでいてほしいので。