猫のお戯れ

オタクのほんわか感想ブログ

さくらの雲*スカアレットの恋感想

おすすめ度★★★★★

シナリオ  46/50

システム    7/10(OPEDのボリュームをBGMボリュームに依存させるのやめて)

キャラ      10/10

音楽           9/10

声優          10/10

絵               8/10

 

点数90

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冬茜トムのゲームこれで三本目なんだけど作品の完成度としては今までで一番よく出来てた。特に本筋を終わらせてからのぐだぐだ共通エンディングが無くなってたのが良き。相変わらずこちらの固定概念を逆手に取った伏線回収は見事の一言でした。

 

主人公が左手を露骨に気にかけていたのは分かっていたのだけど、というか露骨すぎてこのライター衰えたな、なんて思ってしまった。普通にミスディレクションだった。

大正の100年後は令和であるはず、主人公は歪みを正すために行動しているはず、異能者は加藤であるはず、というような固定概念を一気にひっくり返してくる終盤は圧巻の一言。

その分、蓮や遠子は退屈だったけど。個人的にはエロシーン各ヒロイン三つで良かったと思う。クリア後の特典に二個付けて作中二つみたいな形式でもいいけど。それやるとクリア後の余韻に浸り辛くなる難点があるからなんとも言えないか。あと冬茜トム絶対マゾだと思いました。

 

歪みを正して主人公を現代に戻す、という終始一貫した目的がある上に、ヒロイン攻略順固定の一本道だったので途中でダレることなく最後まで一気にプレイ出来た。

この手のゲームで最大のターニングポイントはヒロイン達と離別するかどうかという一点に尽きると思う。個人的には今回のゲームのように大義を通すために離別するという展開が好きなので満足だった。

令和を舞台にマリィや他のヒロイン達の子孫を中心にした二代目ちぇりぃ探偵事務所の物語をFDとかで見せてくれると嬉しいかも。

 

 

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「――桜の樹の下には屍体が埋まっている」

梶井基次郎の代表作、『桜の樹の下には』の冒頭の引用がゲーム開始直後と終盤に差し込まれる。

ただのオサレ演出かと思ったけどわざわざ二回流してるので違うのだろうと思ってちょっと考えてみた。

この短編小説は大雑把に言ってしまうと「桜の優美さの下には醜さがある」というのが主題(だと思う)。

一見優美な桜もその実は屍体の養分を吸って咲き誇っている、というのは主人公がこれからを過ごす平和な令和の下には過去で出会った大正を暮らす人たちの懸命な努力があるということを表している。

それと、綺麗な桜と屍体は主人公と魔神加藤の対比でもあると思う。神になろうとした魔神加藤もまた主人公と同じようなバックボーンを背負っている。主人公も一歩間違えれば加藤のようになっていたとしてもおかしくはない(実際自分の都合で過去改竄を行っていた)。

その二人を分けたのは未来人を受け入れてくれた所長との出会いによるものではないだろうか。

マリィの発言から推察するとあの世界でもコロナウイルスが蔓延している。わざわざ現実世界にリンクさせてきたことにも意味があると思う。ウイルスが蔓延し、また米中の関係も悪化の一途を辿り始めている。現実世界が主人公がいたような世界になってしまう可能性もなくはない。現代を桜にするか、屍体にするかは現代を生きる人間の努力と出会いにかかっているというライターからのメッセージではないだろうか。

 

追記 ちよちゃん好き。

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