猫のお戯れ

オタクのほんわか感想ブログ

言の葉舞い散る夏の風鈴感想

おすすめ度★★★★★
シナリオ 47/50
システム   5/10(つけろっ……!いい加減っ……!バックログからのジャンプっ……!!)
キャラ    10/10
音楽         9/10
声優       10/10
絵            9/10

点数90

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景の海のアペイリアあの晴れわたる空より高くの範乃秋晴の最新作。
この二作は僕のプレイしたエロゲの中でもかなり好きな部類だったので正直とても期待していたわけだがそのハードルを軽々と超えてくれた。前述二作は終盤が微妙という共通する欠点があって、このライターの欠点だと思っていたのだが今作はそれを乗り越えた素晴らしい終わり方だった。

以下各ルート感想
ゆう
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遥そら至上最強のキャラクターだった。今まで遥そらと言えばサノバウイッチの因幡めぐるちゃんだったわけですが
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ちょっとエッチでエロゲ大好きなのに恥ずかしがりやで友達いない性格と遥そらのボイスが奇跡的マリアージュを果たしてた。
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ただ告白の部分がいささか唐突だったように思えた。他ヒロインがデートしたり同棲したのちの告白だったことに比べるとどこで主人公の事を好きになったのか良く分からなかった。


仰子
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芝居の為に同棲して同衾までして最終的に恋心に気付くのが二人別々に寝ようとしたら物悲しさを感じて眠れなかった時というのは胸キュンポイント高かった。
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FDは真子さん攻略させてください。なんでもしますから。


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久しぶりの車椅子ヒロインだった。久しぶりって言うかあれ。どうだっけ。ころげての小鳥ちゃん以来かも。
歩く必要のない声優というジャンルにおいて、歩けなくなったヒロインの気持ちが分からなくて苦戦するという展開は面白かった。
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声がじゃっかんアペイリア意識してるように感じた。感情表現が豊かになったアペイリアを攻略してるみたいな感覚も味わえてよかった。やきもちを焼いたり、主人公からのセクハラを「私は」許容範囲であると控えめながらアピールしてくる場面はとても可愛かった。




この作品の非常に優れていた手法が、ヒロインの問題=演技の問題にした部分だった。
リアルで幼馴染とうまくいっていない=幼馴染と絆を確認するシーンを上手に演じることが出来ない、などであるが問題解決=演技の上達に繋がるので問題が解決するとそのまま大会の最優秀賞も付いてきて達成感や得られるカタルシスが単純に二倍になるのである。
ヒロイン三人のルート展開の外殻が共通しているにも関わらず飽きなかったのはこの点が大きかった。


詞葉
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グランドルート。三人クリアすると解放されて、三人がそれぞれ問題を解決したけど主人公とは付き合わなかった段階からスタート。この手法は晴れたかでもやってたけど、他ヒロインの問題やトラウマも払拭したうえで先に進めるので心置きなくグランドルート楽しめるというメリットがあるよね。

他ルートでもヒロインの窮地を救って主人公と気が置けない仲だった詞葉だったけど他のルートでも主人公への好意がわりと見え隠れしてて、メインルートでそれが爆発した時の威力は凄かった。
最初から好感度が高いヒロインよりもフラットな状態から恋愛まで持ってった方が攻略してる感あるから個人的に好き。

天才的な才能を持つ声優を目の当たりにして壁にぶつかり自分の全力の演技が出来なくなって引退した詞葉ががむしゃらに頑張る三人のクラスメイトに影響されてもう一度声優と向き合う事を決める展開はありきたりではあるけれど王道で心にくるものがある。というか青春自体が王道と相性がいい。

オーディションラストの「サクラは何度でも咲くよ」という台詞は一度は終わってしまった自身の声優としての未来や、声優として復帰することで途切れてしまう声優部員達との絆がまた復活することを明示しているように思えた。最後の真夏の卒業式においても顕著で、元来終りを意識してしまう卒業式というイベントにおいて終わりではなくその先の続きを夢見ることが出来た。

演出も凝っててそれまではインストを流していたエンディングで初めてボーカル付きの曲を流してくるのだけど曲の第一声が「季節は巡ってサクラは何度でも咲くよ」と完全にルート展開を反映した良曲でエンディング曲だけで感動させられてしまった。希望を言うならエンディングが終わった後に戻るTOP画面を卒業式のCGに変更していて欲しかったけども。その演出があれば完璧だった。


真っ正面から青春を描ききった2018年を締めくくるに相応しい名作でした。