おすすめ度★★★★★
シナリオ 48/50
システム 10/10
キャラ 10/10
音楽 8/10
声優 10/10
絵 9/10
点数95
ひと夏のボーイミーツガール系では最高峰の出来栄え。挫折し、かつて過ごした島に逃げてきた主人公がアトリや島の住民との出会いを通して成長していく。展開はsummer pocketsを彷彿とさせるが不思議な力に頼らない分、避けられない別れが実際に避けられない分、より胸に響くものがあった。やっぱりボーイミーツガールは離別系が至高なんだよな。
アトリとの別れを8/31に設定してた点が心憎い演出だった。
8/31と言えば夏休み最終日であり、否応なしに終わりを連想させる。プレイヤー側に対して別れのイメージをより強く印象付け、さらに感情移入させやすくしている。
ライターの紺野アスタお得意のものづくりを通したキャラクター同士の交流もいつも通り良かった。
不良キャラと思っていた竜司が兄貴分、親友になっていく流れは青春の一言だった。いつもならここはヒロインと仲良くなる場面なのだけど、アトリはヒロインが一人なので男性キャラにこの役目が回ってきたんだと思う。男キャラが一人いるかいないかで日常の面白さが変わってくる。キャラクターの少なさを強みとして生かした良い采配だったように思う。
ストーリー開始時点からアトリは主人公の”足”としての役割を果たすことに執着していた。
主人公の義足にまで嫉妬するシーンはもういっそギャグだったのだけど終盤、別れが近づいてくるとまた違った意味合いを帯びてくる。
アトリはこれまでの触れ合いを通して物理的な足ではなく、未来へと歩んでいくための主人公の”心の足”になっていた。
主人公の足に始まり足に終わる。起承転結が非常にはっきりした良いストーリーだった。